815 :名無しの心子知らず


地区の運動会の花形は全学年男女混合リレー。
どの地区も足の速い子を揃え、前から練習をする気合の入れよう。

運動会も終盤になり、そろそろリレーが始まる。うちの地区はリレーに
勝てば逆転優勝できるかも?!というので、否応なく盛り上がる雰囲気。
が、選手の子達は緊張でガチガチ。特に1、2年生などは高学年の男子に
「おまえら、絶対、抜かされんなよ!」「転んだらしばく!」などと言われ
半泣き状態。見ている親達も苦笑しながら、実のところ親の方が緊張で
胃が痛い。
そこへ、日頃はのんびりしているが足の速いのが取り柄、6年生の愚息登場。
彼はアンカーで1番長い距離を走る。「お~い、集まって」と選手全員を
のんびり徴集すると「みんな、頑張ろうな~」と、これまた暢気口調で声をかける。
1年生の男の子が「ぼく、抜かされるかもしらん」と半泣きで言うと、息子は
「抜かされても、ええ。俺が抜きかえしたる。一生懸命走ったらええねん」と答えた。
すると、「ぼくも抜かされるかも!」「私も」「私も抜かされるかも!」と
みんなが次々必死で息子に言い出した。すると、笑いながら「俺が最後にまとめて
抜かしたるから、みんな安心して抜かされろや!でも一生懸命走るんやで!」
と、言った。みんな心底ほっとした顔になり、見知らぬおっちゃんに「兄ちゃん、
かっこいいこと言うやないか!」と、肩をたたかれる息子。

結局、抜きつ抜かれつの混戦で3位でバトンをもらったアンカーの息子は
200mを走り2人を抜いて1位でテープをきった。大盛り上がりの応援団。
逆転優勝は逃したものの、気持ちのよい運動会になったとさ。

息子、かっこよかったぞ。涙でビデオうまく撮れなかったけど、忘れない。
ほろりときたのは親ばかな私たちなのでsage。